みそのかんずめ

堕落しきった御時勢の話題をドォンドォン言おうじゃねえか!(ふつうのブログです)

【東方小説】恋する人魚姫 1話「慕情の人魚姫」

私は夢を見ている_____

夢を見ている___というのはあまりにもボヤァとした世界観がだった。実感は沸かないがこれはゆめだ。しかし私は正直夢というものを見たことは無かった。これがゆめというものなのか。それも同時に理解把握した。とにかく今私「わかさぎ姫」はゆめを見ている。いつものように湖に浸かっている私の周辺は白い蜃気楼で囲まれ何も見えないが、ゆめだというのは分かっている___その大量の木が囲んである森の奥から誰か現れた。

…人間であった。人間出会ったのだ。顔はぼやけていたが髪型はボサボサしており顔付きは男らしい輪郭をしていた。彼は立ち止まっている。湖を見つめて立ち止まっていた。ただ誰かを待っているようでもありそうじゃなそうにも見えた。しかし私の存在に気がついたのか、彼は小声でそっと呟いた。

「会いに来てくれ...」
 
___そして、私は目覚めた。満月の夜が水で歪んでる湖の底で。
「…夢…?」
 
************
ここは幻想郷、より少し辺境の地だ。この湖は霜で視界が見難い地帯であり人は勿論、妖。妖怪達もあまり寄り付かない地帯である。
この私、今泉影狼は彼女...周りからわかさぎ姫と呼ばれてる友達を心配していた。この頃彼女はこの頃湖の下にに向けながら、近くの小石を転がしながらぼーっとしていた。私は彼女とは仲良しだ。チョット心配になった私は恐る恐る話しかけてみた。
「わかさぎちゃん、わかさぎちゃん。」いつもの呼び方で悩み顔の彼女に問いかけた。しかしわかさぎちゃんは私の方からそっと振り返した。けど、私は諦めず彼女と接しようと彼女の方に話しかける。
「私に相談出来ることなら、何でも言ってね?私達草の根妖怪ネットワークの仲間でしょ?」
そうだ。私と彼女は仲間であり親友だ。
「影狼ちゃん...」
すると彼女、わかさぎ姫は私の方へ振り向き、私に全てのことを打ち明けてきた。夢の中で名も知らぬ男性がわかさぎちゃんに「会いに来て」とただ一言言われた夢の話を。
 
「そう...そんな事が....」
「うん、けど私どうしよう...この姿じゃ皆不思議がると思うし...」
わかさぎちゃんは悩んでいた。これからどうすればいいのか。彼女は人魚だ。しかし話によれば、その男の人は普通の人間。彼女と違って生脚を持っている。けれともわかさぎちゃんは生脚など持ってない、あるのはただの尾鰭だ。私達は暫く何の口もあげないまま何もない沈黙だけが続いた...彼女を人間にできないか…まず、その事ばかり考えていた。
…咄嗟に思い出した。
「...出来なくはないかもしれない」
湖の奥にある深紅の館に住する、ある魔法使いのことを。
 
それは噂話でだが聞いたことある。その紫の髪形をした魔法使いは全能なる魔力と膨大な知識を備えており、数々の奇跡の魔法を生み出したとか。その魔法使いの技量なら、わかさぎちゃんを人間へと変貌されることに違いない。その可能性を信じて、私は彼女と共に湖の先の館へ向かうことにした。霧のせいで視界は悪く時間はかかったが、それでも紅魔館と呼ばれる屋敷へ辿り着いた。外観はまさに洋風の屋敷。しかし外見は屋敷にしては少し狭いようも感じる。
 
 
「やっぱり噂に聞いてたけれども、想像以上に不気味な屋敷ね...空気も重いし、寒気が来るわ」
 しかし恐れてはいけなかった。私の友人がこうも困っているんだ。この願いをどうにかして伝えなきゃ...私はそう思った。私達は恐る恐る屋敷の扉を開けた。
「お邪魔しますー...」静かに開けた扉と同じく囁くように言った。
 
外見とは裏腹に屋敷内の中は広かった。そして何もない暗黙と闇黒の空間であった。何も見えず何も物音せず、光も何も無い。目の前の赤いカーペットの左右には高価そうな棒の皿の上にキャンドルが全部で8本あった。「...あれ?誰もいないのかなぁ?」疑問を抱きながらも扉をそろりと閉じ、
 
 
それは一瞬だった。今現、何が起こったのは私にはさっぱり分からなかった。自分の周囲の四方八方に包丁ナイフが壁にぶっ刺さされていた。そしてわかさぎちゃんも同じ状況であった。今の現状を理解した時に冷や汗をかいた。
「…この紅魔の館に何の用かしら?邪魔者?」
明らかに私達以外の声が敷内で鳴り響き、その瞬間何もついていなかった縦に並ぶ蝋燭達がボォっと後ろから一つ一つ熱く輝き始めた。その蝋燭ロードから何の足音もせず、忍び足で現れてきたのはこの屋敷のメイド長にして屋敷内唯一の人間、十六夜咲夜であった。
「このメイド…何処かで…あっ!貴方は!」
おそらく夢の事で慮りと、黙り込んでいたわかさぎちゃんが唐突に言葉を発した。てかあんたの周り、ナイフが四方八方にぶっ刺さってるじゃない。左右確認して今時分が置かれている立場把握しなさいよ。
私達はこのメイドを知っていた。ある異変、打ち出の小槌の異変の時私達は小槌の影響のせいで暴走していた。その時彼女、十六夜咲夜が現れたのだ。そして何の躊躇いもなく私達倒していった。…もっとも彼女らが居なければ私達は暴走していたままだったのかもしれないのである意味恩人でもある。
「…ん?よく見たら貴方達、あの時の…?」どうやら彼女の方も私達の事を覚えていたようだ。よかった。
「あの…この屋敷に魔法使いがいるという噂聞いてやってきたんだけどさ…その前に…取ってくれない?身動きできないんだけど」
今の自分は正直憂虞していた。今の返答は下手したら殺される返答ではあったが、そんな事考えている暇もなくつい口走ってしまった。
「あらごめんなさい。野暮用ではなさそうなのは把握したわ。」そう言ってる合間に壁に刺さっていたナイフが金属音が鳴り響きながら落ちていった。確かに私達にとっては野暮用ではない。私の友達、わかさぎちゃんの夢を叶えるためにここまでやってきたのだから。何の用もなく来たわけではない。分かってくれてる人だ。
「ちょっと暇人いたら来なさい!今すぐ!」けれど、やたら部下達には厳しそうだった。
 そして咲夜に連れて来られた妖精メイド3名が現れ、心配を装いに屋敷内の内部へ入る事が出来た。
...今現在この迷路の迷宮に迷っているのだが、このメイド達、大丈夫なのだろうか?
 
続く。